【田原総一朗】選挙の争点TPPの基礎知識「農水省発表の日本の食料自給率39%、実は70%である」
田原総一朗氏の意見抜粋
1.TPPは賛成(あくまでも協定の内容を決める「交渉への参加」にすぎない)
2.反対派の根拠の食料自給率が低いというのは、数字のゴマカシ
農水省の食料自給率は世界のどこの国も採用していないカロリーベース
生産額ベースでは、震災前の平成22年度で70%(世界5位)
食料自給率が低くなるカロリーベースでわざわざ計算しているのは
省益(職員数・予算額)のため
3.むしろ日本の農業は、安全性、品質において世界に日本ブランドとして
充分通用する。逆にTPPはチャンスである。
4.農家が小規模で弱いままの方が農協の影響力が維持できる。
農家が強くなれば、農家は農協に頼らななくなる。
右ブログより
農家のために働かない農協と、国民のために働かない今の官僚の
半分は日本には必要なし。
過疎の限界集落だった神子原地区の米をローマ法王に献上することで
ブランド化に成功させた公務員・羽咋市役所職員の高野誠鮮氏も
日本より農地面積の小さなオランダが世界3位の農産物輸出国であり、
日本の農業は充分に強い。と言ってました。
こんな素晴らしい公務員もいるんですね。
11月16日、野田佳彦首相が衆議解散を断行した。
この解散を「TPP解散」だという声もある。
TPPとは、環太平洋戦略的経済連携協定のこと。
アメリカをはじめとする、アジア太平洋地域の国ぐにが、
高い水準の自由化を目標にした多国間の経済連携協定のことである。
「郵政解散」になぞらえたとも言われている。
野田首相の本心はどこにあるのか。
衆議院の解散をのばすと民主党の党内から野田降ろしが
噴出する、まずそれを恐れたのだろう。
さらに、TPP参加を打ち出して選挙に臨めば、TPP問題で党内意見がまとまらずにモタモタする自民党を圧倒できる、という目算もある。
だから、野田首相はTPP交渉参加を民主党の公約にしようとしている。
僕は、TPPには当然、参加すべきだと思っている。
あくまでも協定の内容を決める「交渉への参加」にすぎないのだ。
だから賛成してもいいのではないか。
だが、アレルギー反応のようにTPP交渉参加に反対する議員は多い。
TPPは医療、サービス業も含めたさまざまな産業分野に関連するが、
その中でもとりわけ農業についての反対が強い。
加盟国間で関税障壁がなくなるため、海外から安い農産物が輸入され、
日本の農業が立ち行かなくなるというのが反対派の意見なのだ。
僕は、この考えはまったく逆だと考えている。
日本の農業は決して弱くない。
農水省が、日本の農業を守らねばならないと主張する根拠は、
日本の食料自給率が低いということだ。
平成23年度の食料自給率は39%しかないと。
だが、この数字はゴマカシなのだ。
食料自給率39%というのは、カロリーベースの数値である。
生産額ベースで計算すると、66%と、ぐんとアップする。
ただし、これは震災後の低い数字で、震災前の平成22年度は70%にもなる。
70%という数字は諸外国と比べても高く、世界第5位だ。
日本は農業大国なのだ。
さらに言えば、そもそも日本以外の国で、
カロリーベースの食料自給率を採用している国はない。
では、なぜ日本はカロリーベースの数字で統計をとっているのか。
カロリーベースだと、高カロリーの農産物が多いと自給率の数字があがる。
小麦や油脂などがそうだが、それはほとんど輸入している。
一方、日本国内でほとんど生産している野菜などは、
カロリーが低いので、自給率の数値が上昇しない。
また、肉牛や鶏卵はほとんど日本で生産されている。
ところが、輸入飼料で生産されたものは「自給」とみなさないため、
これらも自給した畜産物として計算されないのである。
このように、日本の食料自給率は、
「自給」の実態を見る指標としては大いに疑問がある。
それなのに、なぜ農水省はカロリーベースの“低い”自給率をことさら喧伝するのか。
僕は農水省の「省益」のためだと考えている。
農業に対する危機感をあおり、日本の農業を保護すべきだと主張することで、
農水省は職員の数を減らさず、農業関係の予算を守りたいのだ。
もうひとつ、TPP交渉参加に猛烈に反対するのが農協である。
農協は「日本の農業が守れない」と主張している。
これも、とんでもない主張だ。
やる気のある農家にとって、TPPはむしろチャンスだと僕は思っているのだ。
時間と手間をかけ、丁寧に栽培された日本の農産物は、世界に通用する。
質が高く、味もよく、安全な農産物は日本産ブランドとして世界中で人気だ。
もしTPPに参加すれば、日本の農業は輸出産業となり、
もっと伸びていく可能性を充分に持っているのだ。
では、なぜ農協はTPPに反対するのか。
農協は、日本の農業を弱いままにしておきたいのではないか。
農家が小規模で弱いままなら、農協の会員数は減らない。
農協の影響力も維持できるのだ。
一方、やる気のある農家が世界に進出して成長すれば、経営も安定する。
そうすると、農協に頼る必要がなくなるから、農協の会員数が減ってしまう。
農協にとっては、許しがたい事態だ。
TPPは、日本の農業の将来がかかっているといっても過言ではないのだ。
本気で取り組むのならそうとうの覚悟とエネルギーが必要なテーマである。
野田首相はこのことをどれほどの覚悟をもって言っているのだろうか。